何となく新しい鏡筒が欲しい気分なのですが、自分が何をしたいのかよく分からなくなっています。
(たぶんお買いものがしたいだけと思います)
ぼくは中古で買うことが多いのですが、話を簡単にするためVixenの現行モデルに絞ると、ED80Sf,SD81SII,SD103S,SD115S,AX103S,FL55SS,VSD100あたりが出てきます。
VSD100も一応入れましたが、終売なんですね。VSD90も予告されているし、そういうものか。
そもそも手を出しづらい価格なので「何で入れたの?」感ありますが。入れたかったのです。ぼくはこういうのを考えるとき、まずは現実的な予算を度外視して考えるので。
ED80Sfは、KYOEI-OSAKAで「天体写真の世界」吉田さんによるレビュー記事が掲載されているなど、Vixenの意欲が感じられますが、これたぶんOEMですよね?
カタログには「生産拠点や製造工程の見直しをするとともに、品質管理を徹底することで、コストを抑えつつも高い品質のSDアポクロマート鏡筒を開発することに成功しました。」とありますが*1、この「開発」は「商品開発」の意味と思います。設計開発でなく。
「生産拠点」「の見直し」からOEMと読み取ることもできるので、やはりVixenは基本的に良心的と思います。日本の天文趣味を支えるVixen。
OEMが悪いと思いませんが、わざわざVixenに含めて検討する理由がないので、ここではひとまず除外します。
そうなると残りはSD81SII,SD103S,SD115S,AX103S,FL55SS。
SD81SII,SD103S,SD115Sは同じシリーズに位置づけられており、収差図もほぼ同じです。
いずれもF7.7と明るい短焦点で、鏡筒を短く扱いやすくする狙いだそうです*2。
中でもSD81S,SD103Sは使われている方が多いようで、使用レビューが多く見つかります。(「STARRY URBAN SKY」HIROPONさんのレビュー、「天体写真の世界」吉田さんのレビューなど*3。大いに参考になります。ありがとうございます!)
という訳で、SD81SII,SD103S,SD115SはFPL53を用いた2枚玉のF7.7アポクロマートの口径違いとまとめておきます。口径差で価格が2倍以上変わりますが、そこはそれ。2017年発売だそうです*4。
AX103Sは、2009年に発売された3枚玉で口径103mmのF8アポクロマート。
Vixenのフラッグシップ屈折に位置づけられ*5、実売33万円弱と高価なせいか、使用例があまり見当たりません。競合も多いですしね。
フラットナー内蔵というVixenには珍しい特徴をもつ反面、やっぱり微動装置はオプション対応というちぐはぐ感があります。
とはいえVixenが上級者向けに打ち出したフラッグシップモデルだけあって、球面収差が0.2mm程度、スポットダイヤグラムも異次元?というくらいです。
(球面収差図の目盛りは200μm、スポットダイヤグラムの目盛りは10μm)
「何なのこれ?」的な高性能は、
設計自由度が高いとされる分離式3枚玉にあるのかなあ。*6
こんなのどうやって組み立てるのだろう。
「分離式三枚玉」といえばタカハシTOAが思い浮かびます。今はFounder OpticsのFOT85/FOT105といった競合も出ているようです。
とはいえ収差は、AX103Sと価格的に競合したと思われるTSA-102と同等にみえます。
現行ならFC-100DZが比較的近い?ちょっと劣りますが。さすがに2枚玉ですし。
そりゃあAX103Sは高性能だけど、3枚玉に伴う温度順応の長さや重さ・価格の高さなど越えるべきハードルが増えるようです。
FL55SSは、定評ある大人気モデルですよね。2018年発売。けっこう新しい。
現行Vixen唯一のフローライトを用いた口径55mm・300mm/F5のコンパクトな鏡筒。
「これはミニVSDか?」という天リフさんのレビューが非常に印象的です。
どう使ってもケチの付けようがない出来で、フラット処理が要らないレベルに周辺減光が少ない。
惜しむらくは、事実上必須なのにオプションな微動装置・フラットナー・レデューサーを揃えるとまあまあなお値段になること。小売希望価格ベースで20万円超え。
「Vixenが最高のコンパクト鏡筒を作ると?」の答えがFL55SSなのだと思います。
競合はBORG 55FLやRedCat51あたり?
BORGは「BORG」という特徴があり、RedCat51はペッツバール式という特徴があります。タカハシFSQと同じペッツバール!
「口径が小せえ!」との向きにはRedCat71も。お値段もFSQ85EDP並。
と、まあ、話を簡単にするためにVixen現行モデルに絞って検討しましたが、実際は旧モデルやタカハシや海外メーカーが競合品をガンガンぶつけて来るので、もう何がなんだか分からなくなるんですよ……。
*1:カタログ52ページ
*2:カタログの記述より。
*3:いずれもED103Sのレビューですが、SD103Sとの違いはドローチューブ内の絞りのみで、APS-C以下のセンサーを用いる限り同一とみなせます。
*4:https://www.vixen.co.jp/post/170607a/
*5:今はVSD100のポジションが空席なので
*6:図は星ナビ機材セレクションより引用。