へぼてんブログ

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京都市青少年科学センター プラネタリウム 「宇宙の謎に挑め!ALMA望遠鏡 vs. JW宇宙望遠鏡」 レビュー

京都市青少年科学センタープラネタリウムは、いま「宇宙の謎に挑め!ALMA望遠鏡 vs. JW宇宙望遠鏡」のテーマで解説されています。

「宇宙の謎に挑め!ALMA望遠鏡 vs. JW宇宙望遠鏡」京都市青少年科学センター制作

「宇宙の謎に挑め!ALMA望遠鏡 vs. JW宇宙望遠鏡」京都市青少年科学センター制作

戦う性質のものでもありませんが、対戦の形でキャッチーにされています。

150万km離れたL2点で活動するJWSTを「孤高のアーティスト」、66台もの大型パラボラ干渉計を用いるALMAを「グループアイドル」に例えるなど、キャッチーな分かりやすさを大切にしつつ、正確さを犠牲にしないよう丁寧に考えられた解説に感じました。

ALMAになぞらえられたグループアイドル
JWSTになぞらえられた孤高のアーティスト
干渉計たちが一斉に動くALMAと、L2点のJWST

ALMAはアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(Atacama Large Millimeter/submillimeter Array)と正式名も紹介されていました。

ALMAといえば、公式アカウントが3月2日にJupiterとVenusのカップリングをポストして話題になっていましたから。キャッチーさ、大事。

ALMA公式Twitterアカウントによる投稿

ALMA公式Twitterアカウントによる投稿。ALMAさん何やってはるんですか!

中核的な、JWSTは折りたたみ式で宇宙空間で2週間かけて展開て赤外領域観測を担当するとか、ALMAは複数のパラボラアンテナ干渉計で構成されるとかくらいは知っていても、観測対象や目的に応じてアンテナ群の場所を寄せたり拡げたり、グループアイドルのフォーメーションのように展開していることは知りませんでした。
だからALMAといえば巨大な運搬車に乗せて動かす画像があるのですか!

100トンもの重量の巨大な干渉計を動かす運搬車

100トンもの重量の巨大な干渉計を動かす運搬車

直径16km~もの範囲で干渉計を運搬車で移動した轍

直径16km~もの範囲で干渉計を運搬車で移動した轍

その、ALMAの重量100トンもの大型干渉計を巨大な運搬車に乗せて移動する動画を、ドーム一面に投影された様子は圧巻でした。
「あの巨大な干渉計を動かすんだ!?」という驚き。

プラネタリウムドームだからできるリアルに近い体験。

わざわざチリに設置された理由は、近ごろならアマチュア天文ファンにもお馴染みになってきましたよね。
晴天が多い気象条件は観測に向きます。
特に電波望遠鏡は大気中の水蒸気に弱く、チリの乾燥した大気が好ましいそうです。

自分にとっての気付きは、パラボラアンテナの干渉計も「反射式望遠鏡」に含めて解説されたことでした。
考えて見ればパラボラ(双曲面)の主鏡で集めた電磁波を副鏡で反射して扱いやすい所へ導いてセンサーで拾う点、光学式のカセグレン式反射と同じなのか!と。*1

大変に楽しくて興味深く何度観ても学ぶことの多い番組(全編生解説です)で、「前回の番組を『最高峰!』といっちゃった直後に『最高』を更新するのもなあ……」と困ったくらいで、この館でしか使われないのがもったいないと思います。他の館に販売できないのかなあ?何か理由があるのかなあ?

ベタ褒めレビューは説得力を欠くので重箱の隅をつつき倒して難癖に近い点を探すならば、プラネタリウムである必要性が少ないといえなくもないことくらいです。
ドームの曲がったスクリーンに映さなくても、平らで見やすいスクリーンの方がよいのでは?問題。
とはいえ大阪市立科学館が企画の一員を務めた渾身の番組「ブラックホールを見た日」だって、ドームに投影する必要ある部分は多くありません。
プラネタリウムドームである必要性」に拘らず自由な発想で制作されたからこそ、この「ALMA vs. JWST」は成功したのかも?と感じます。

完全に個人的な感情ですが、ALMAの成果の画像をドーム一周にぐるりと並べられたシーンは、後半の投影が数日で終了させられた不遇の「宇宙美術館」を彷彿させる演出でうれしかったです。
「宇宙美術館」の後半を逃した悔しさが癒やされました!

京都市青少年科学センターのプラネタリウムの投影テーマ「宇宙の謎に挑め!ALMA望遠鏡 vs. JW宇宙望遠鏡」、4月19日(水)までやっています。
天文ファンな人にもライトな楽しみ方にもマッチする、楽しいテーマのプラネタリウム番組解説です!
全編が解説員の方の生解説で、前半「今夜の星空」解説ももちろん楽しいです!

【おやくそく】
京都市青少年科学センターの職員さんや天文・宇宙・プラネタリウムの専門家でない、一天文ファンによる感想です。
誤った記述がある場合、正確な解説をぼくば誤って記憶して書いているかも知れません。
記述のすべての責任は私にあり、京都市青少年科学センターは記事に何ら関与されていません。

【余談】
本当は新番組初日に観に行って解説員の方からもお声掛けを頂いていたのですが、「まだ1回しか観ていないしなあ……」とかウソみたいに忙しい時期があったり何やかんやで3月になってしまったので、お声掛けのご恩に報いたくてがんばってメモを取りながら観ました。

鼻をつままれても分からない暗さのドームで、手元が見えない中で書いたから文字が読みづらい……といいたいところですが、案外読めるし普段の文字と変わんないな?これ。
アタマの5行は明るい中の文字。
見えなくても意外とメモできるようです。

*1:解説では「カセグレン式」と言及されていませんでした。ぼくが思い浮かべただけで不正確かもです。